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福島発 福島第2廃炉の現状 東電「後方支援基地に

 東日本大震災東京電力福島第1原発事故から4年1カ月が過ぎた。福島第1の現状は日々詳細が伝えられるが、福島第2は3月に原子炉内の燃料移送の完了が伝えられたが、今どうなっているのか見えにくい印象がある。県が第1原発とともに「全機廃炉」を求めているなか、東電は「後方支援基地」としての必要性を訴える。14日に現地を訪れ、現状を追った。
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 福島市から車で約2時間半。全線開通となった常磐自動車道広野インターチェンジ(IC)を降り、国道6号を北上する。福島県楢葉町と富岡町をまたいで立地する福島第2に到着した。所内の概要説明を受けた後、構内を見学するため作業服に着替える。1号機を訪れた際は、放射性物質から身を守る「タイベック」と呼ばれる防護服を着込み、マスクを着けるフル装備だったが、第2は作業服こそ着るが、マスクは必要としない。現在の敷地放射線量は0・2~0・6マイクロシーベルトに低下した。
 平成23年3月11日、震災当時の福島第2の状況は、1~4号機とも運転中だったが、地震で全機が自動停止。冷温停止に向けた作業中に、津波で非常用ディーゼル発電機、海水ポンプなどが被災した。しかし、外部電源(送電線)で電力が確保されており、各原子炉に注水を維持しながらポンプの復旧に成功し、除熱機能を回復させて冷温停止できた。
 まずはバスで津波が駆け上がった1号機原子炉建屋南側道路に向かう。原子炉建屋などに破壊された跡はないが、壁の変色などに爪痕を見ることができる。海側に建つ1号機海水熱交換機建屋は水没、砂をかぶった電源盤が残されていた。
 1~4号機の原子炉には、それぞれ764体ずつ燃料が残っていたが、24年10月に4号機、今年の3月24日には3号機の移送が完了、これで4、2、1、3号機の順で全て終了した。
 4号機原子炉建屋に向かう。6階オペレーティングフロアを上部から見ると、空洞となった原子炉の隣に水をたたえたプールで冷却が続き、圧力容器の蓋などが整然と置かれていた。
 移送を終え、今後の作業について設楽親(したら・ちかし)所長は「移送は終わったが、全ての燃料をしっかり冷却し続ける必要があり、設備のメンテナンスを実施する。安全性を高めるための検討に努め対策を取る」と話す。
 福島第2の存在意義については、「第1の廃炉作業の後方支援基地として取り組んでいる。燃料の管理には人材が必要。訓練などを通じて育成を図っていく」と説明した。
 支援の具体策は、(1)放射性物質の拡散防止対策として港湾内の海底に敷設する被覆材を製造するプラント設置や、製造など工事の準備作業を実施(2)タンクのトレーニングや確証作業実施(3)第1・4号機の燃料取り出し作業でも第2所員が工事監理員として協力、3号機の燃料取り出しに向け支援する-など。
 廃炉問題については「現実問題として第2の燃料を守ること、安全対策の向上、福島第1への貢献、柏崎刈羽原発(新潟)の支援などが優先。調査など手つかずで将来を考慮する状況にない」と話した。
 福島第1は今も高い放射線量の中、1日6千人が廃炉作業に従事する。4号機には1535体の燃料が保管されていたが昨年12月に取り出しが終了した。27年度は3号機原子炉建屋の燃料貯蔵プールにある566体の燃料取り出しに着手する予定だ。
 1、2号機は溶け落ちた燃料(デブリ)の状態を把握するため宇宙線「ミュー粒子」などを使って把握した。1号機は国際廃炉研究開発機構(IRID)や東電によると「炉内に1メートルを超える大きな塊はない」とほぼ全量溶け落ちたことを確認。2号機は一部炉内に残存しているとみられる。
 1号機に投入したロボットが停止したが今月15日に調査を再開、32年以降のデブリ取り出しへ状況把握を急ぐ。福島第2・4号機の原子炉格納容器内に入ったが、ただでさえ狭く作業が困難な場所で、高い放射線量の中、デブリを取り除く作業がいかに困難か想像がついた。
 「福島第2の状況をもっと知ってもらい、地域住民の不安も取り除きたい」。設楽所長はそう誓った。

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