建設現場事故ニュース

建設現場で起きた大小の事故ニュースをまとめています

箕面・新名神事故、仮支柱の施工計画にミスか

 大阪府箕面市新名神高速道路の建設現場で19日、橋桁の仮支柱(ベント)が倒壊した事故で、橋桁とベントの間に設置された部材の位置が重心からずれていた上、高気温のため橋桁が伸びてバランスが崩れた可能性があることが、工事関係者への取材でわかった。部材の位置は施工計画書通りだったが、施工業者は「計画に見通しの甘い部分があったかもしれない」として、再現実験を行い、原因を確定させる方針。

 事故は19日午前9時55分頃、箕面有料道路をまたぐ「余野よの川橋」(仮称)の建設現場で、橋桁(長さ約26メートル、約50トン)を仮に支えていた鉄製のベント(高さ約13メートル、約21トン)が崩れ、同有料道路をふさいだ。当時、付近で作業は行われておらず、けが人はなかった。

 施工業者はIHIインフラシステム(堺市)。工事関係者によると、ベントと橋桁の間には、橋桁の高さを調整するための「サンドル」と呼ばれる板状の部材が数枚設置されていた。施工計画では、橋桁下での作業スペースを確保するためサンドルをずらすことにしており、計画通り、重心から少しずれた位置に置いたという。

 また、同社によると、高気温の影響で、鋼鉄製の橋桁が数センチ規模で伸びたとみられる。同社は、この影響で重心が大きくずれ、バランスを崩した可能性が高いとみている。ベントの耐荷重性や、ベントを設置した地盤の強度に問題はなかったという。橋桁自体の安全性にも異常はなかった。

 大阪管区気象台によると、事故前日の18日、箕面市に隣接する大阪府豊中市の最高気温は、平年より3・5度高い27・8度。19日午前10時頃は24・8度だった。

 同社は「施工計画では橋桁の伸縮も踏まえており、安全上は問題はないと考えていたが、想定以上に伸びが大きかった可能性がある」としている。

 新名神高速道路の建設現場では、神戸市北区で4月22日に橋桁が落下し、作業員10人が死傷する事故があったばかりで、発注者の西日本高速道路は管内の全工事114件を再び中断し、安全点検を行っている。